公平で公正な企業風土を成長の原動力に

目次

    これからの日本企業が目指すべき姿

     かつて、我が国が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と評された時代がありました。ハーバード大学のエズラ・ヴォ―ゲル教授が、著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で、日本企業の成功要因は日本人の勤勉さと終身雇用制度にあると指摘したのをきっかけに、そうした日本式の経営が世界で賞賛されました。

     それから四半世紀、今、日本は長い経済の低迷に苦しんでいます。安定した雇用制度が、日本企業の社員からチャレンジ精神や独自性を失わせ、生産性低下を招いたとの指摘もあります。こうして、今や日本式の経営を続けている企業は、ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー(JTC)と揶揄されることさえあります。

     EPIは、これからの日本企業が目指す姿として、日本の優れた企業文化と欧米的な経営を組み合わせた経営スタイルの確立に取り組んでいます。それは日本の伝統的経営の墨守でもなく、欧米的な経営への安易な追従でもない、社員を大切にする日本らしい温かさと世界基準の実力主義の両立です。

    コンサルティング業界の課題を解決するために

     かつて日系シンクタンクと外資系コンサルファームの給与水準に大きな差はありませんでした。しかし、ここ10年で外資系が給与改定を続けてきた結果、日系と外資系の給与格差は劇的に広がりました。

     外資系コンサルが高い給与を維持できる背景の一つとして、ピラミット形の人員構成を堅持していることが挙げられます。ただ、それを維持するためUp or Outが程度の差こそあれ適用され、社員の平均勤続年数は2~3年に留まっているのも実情です。Up or Outを厳格にするほど社内競争が不健全なレベルまで熾烈になりやすく、スキルが継承されにくいという課題も生じます。

     一方、日系シンクタンクは30代まではほぼ横並びで昇進させ、40代でようやく部長職で選別が入り、わずか数年後の50歳から50代後半で役職定年を迎えます。年功序列を保つにはこうならざるを得ないわけですが、結果として若手が抜擢されず、昇格のスピードも遅くなります。特に上位層の社員は、外資系コンサルと同等かそれ以上の仕事をこなしているのに、年収が数百万円見劣りするという感覚に陥ります。これは「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が強みとして指摘した勤勉さが、公正に報われなくなっていることを意味しています。こうした状況では、日本人が勤勉さを維持することは困難でしょう。

     このように日系シンクタンクと外資系コンサルファームの処遇には、それぞれ一長一短があります。人生の大部分の時間を過ごす職場である以上、それぞれの長所を生かし、短所を解決する必要があるとEPIは考えています。こうした問題意識から、EPIは理想の会社の在り方を提言し、自ら実践することにしました。

    公平・公正が生み出す成長の好循環

     EPIが目指すのは、日本らしい長期雇用と温かい育成環境をベースに、公平・公正の理念と実力主義を徹底し、業界最高水準の待遇を実現できる組織です。

     理想の実現に向け、EPIはまず「公平」「公正」な処遇の徹底から始めました。具体的には、管理職昇進における年功要素の撤廃です。自ら手を挙げ、戦略を打ち立て、周囲を巻き込むことができれば、誰にでも新部署や子会社の創設チャンスを与えます。活躍機会を広く与える一方、立ち上げた組織の実績は厳密に評価し、報酬や処遇に直結させることで情実人事とならないよう配慮しています。

     一方で、実力主義の副作用として生じやすい過度な社内競争や個人主義を防ぐための工夫もしています。一例を挙げれば、新組織の立ち上げは個人ではなくチームで行うことを原則とし、個人プレーではなく、仲間を巻き込み、成長途上のメンバーや専門性が高いメンバーなど、多様なメンバーを温かく支え合う振る舞いを強く求めています。

     EPIは社員を大切にする日本企業の伝統に、「公正」「公平」な処遇と実力主義の徹底を融合させ、社員への還元と会社の成長を両立させる好循環を生み出しました。その結果、日本のシンクタンク業界では異例の、外資系コンサルファームに引けを取らない給与水準を実現しています。

    日本が抱える閉塞感の打破に向けて

     「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の中でヴォーゲル教授は、日本式経営のリスクとして、「個性や創造性の圧迫」や「異端者や少数者の冷遇」「完全な合意形成を求めるが故の膠着」などを指摘しました。これらは、まさにJTCの悪しき部分であり、それらによって日本の企業は制度疲労を起こしていると言えます。

     企業のあるべき姿とは、安心して働ける環境の中で社員の成長を促し、それによって業績を伸ばしていくものだとEPIは考えています。それこそが、日本らしい温かさと世界基準の実力主義を両立した新たな経営スタイルです。

     かつての日本企業の輝きを取り戻したい。そのためにEPIは、経営のあるべき姿を実現し、日本経済の閉塞感を打破していきます。

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    レポート概要

    • 市場動向
    • 技術
    • 収益モデル
    • 事業戦略への示唆