ニューロダイバーシティーの社内外での推進

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    目に見えない壁を取り去る

     「目に見えない壁を取り去る」。これはEPIが社会貢献活動の根幹として掲げる理念です。ダイバーシティーの社会的認知が高まるにつれ、性別や人種など「目に見える」格差の是正に向けた取り組みは広がりを見せています。しかし、目には見えない格差に対しては、必ずしも十分な配慮がなされてきたとは言えません。発達障害もその1つです。

     特にASD(自閉スペクトラム症)当事者は、他人とのコミュニケーションが苦手で社会生活で困難を覚えやすいとされますが、一部には高い記憶力や集中力を持っている人がおり、優れた学習成績を残すことがあります。こうした人材を活用するため、EPIはASD当事者の活躍機会の創出に向け、社内外でニューロダイバーシティーの実現に向けた取り組みを推進しています。

    ASD当事者を受け入れる社内体制を作る

     ASD当事者は高い集中力や記憶力など優れた能力を持つことも多く、実際に東京大学の学生の中にも一定の割合を占めると言われます。また、コンサルティングファームにも、高い能力を持つ一方で、クライアントとのコミュニケーションが苦手などASDの特徴を有する社員が一定数在籍しています。

     コンサルティング業務は、高度な分析力が求められることから、ASDの特性と相性が良い側面がある一方、上位ランクの社員はクライアントや交渉相手との繊細なコミュニケーションを求められます。こうしたことから、ASD当事者の管理職登用を躊躇う会社も多く、仮に管理職へ登用してもその後の処遇に苦労するケースも少なくありません。

     EPIではこれを、有能な社員が活躍する機会の損失と捉え、旧来のコンサルティングファームのような、全員がパートナーを目指して椅子取りゲームをする画一的なキャリアモデルではなく、個人の専門性を生かした様々なキャリアモデルを選択可能な仕組みを導入しています。

     例えば、圧倒的な分析能力を持ちながらコミュニケーションが苦手な社員を、専門家として管理職に登用する一方、クライアントとの折衝はパートナーが補佐するといった支え合いを実践しています。

     何かの強みを持っていれば、コンサルタントとして完璧でなくても活躍してもらう。ダイバーシティーを目的とするのではなく、ダイバーシティーを会社の本質的な強みにつなげるとの方針の下、EPIではニューロダイバーシティーを社内から実践しています。

    スポーツ教育を通じニューロダイバーシティーを社会に広げる

     さらにEPIでは、ニューロダイバーシティーへの取り組みを社外にも広げています。ASDの子供向けのスポーツ教育に対するスポンサーシップもその一例です。

     スポーツには粘り強さや自己肯定感を育む高い教育効果があります。ところが、日本のスポーツ教育は学校の授業や部活動など、主に集団指導を前提としていて、運動に苦手意識を持つ子供たちや、とりわけASDの子供たちにとって、部活動への参加の敷居は高いのが現状です。体育会で活躍したことが進学や就職での加点要素になっている中、必ずしも全員が参加できない部活は、日本社会の「目に見えない壁」の一つと言えます。

     こうした背景のもと、EPIではASDの子供を対象とした水泳の個別指導プログラムをサポートしています。勝利を目的とせず、集団指導とは一線を画す、個々のレベルに応じたテイラーメイドなプログラムを提供し、日本の部活動には馴染めなかった層にスポーツが持つ教育効果を享受できる機会を提供しています。

    公正な社会の実現に貢献する

     日本社会の同質性の高さは強みである一方、ハーバード大学のヴォーゲル教授が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で指摘したように、時に少数者の排除につながります。このため、多くのASD当事者が同調圧力による「目に見えない壁」を感じています。少なくないASDの当事者が、ASDであることを公表するリスクを恐れ、生きづらさを口に出すことができない状況に置かれています。

     社内外の取り組みを通じてEPIが目指すのは、何らかのハンディキャップを持っていても、それによる生きづらさを感じることなく、能力発揮ができる社会の実現です。EPIはこれからも社会に潜む「目に見えない壁」を見出し、それを取り去ることで、誰もが生きやすい公正な社会の創造に貢献していきます。

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    レポート概要

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